動物には感知できるがヒトには感知できないもの【生物学・動物の感覚】

「動物には霊が見える」を生物学で説明…できるか?

動物には霊が見える(?)なんて言う人々がいます。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

何もないところを犬や猫がじっと見つめている。そこには・・・。

「何も無いのだから、何もあるはずがないでしょ。」

  • 動画ナレーション:小日向 南(こひなたみなみ)様
  • 動画イラスト:オリジナル

しかし「霊もお化けも存在しない」と思う人でも、ペットが何も無いところを見ていたら要注意?

※この記事はスピリチャルな内容ではなく、生物学的な内容です!

さて、結局のところどうなのでしょうか。

犬や猫の嗅覚と聴覚

犬がヒトよりも格段に嗅覚が優れている事はよく知られています。猫も、犬ほどではないけれどもヒトよりも嗅覚が優れています。警察犬が被疑者や物質の僅かな臭いの痕跡を辿ってヒトの捜査に協力してくれる事はよく知られていますね。

また鼻だけでなく耳も同様で、多くの場合には犬や猫は聴覚的にもヒトよりも敏感です。すなわち、ほんの僅かな音であってもヒトよりも察知する能力に優れています。ですので、「何もないはずの所」に何か嫌な虫や小動物がいるなんて事も実際にあり得るわけです・・・。

「猫がネズミを獲る」などとよく言われるのも単なるイメージやフィクションではなく、歴史的に見ても猫はネズミを狩る事で昔は世界の色々な地域で重宝されていたのです。

ネズミは穀物を食い荒らしたり病原菌を媒介したりするので、ネズミをやっつけてくれる猫は単に可愛いという事抜きにも「利益的で役に立つ動物」であったわけです。その事は、猫が犬同様に嗅覚や聴覚が優れている事と明らかに関係があると見てよいでしょう。(もちろん、その他にも猫は音を立てずに忍び足で獲物に近寄って一気に襲い掛かるといった事が犬よりも得意であるといった事なども関係しているとも思います。)

ヒトには聞こえるが犬には聞こえない音も存在?

さてここで、「動物は一般的に本能的な事に関してはヒトより優れている」とざっくり言う事もできそうに思えます。しかし、実は単純な「優劣」というよりは、ヒトも含めてそれぞれの動物はそれぞれの「感知能力の範囲の違いがある」という事であります。

例えば、聴覚で言うと音には「高い音」と「低い音」があって物理的は「振動数(周波数)」でそれは特徴付けられるものですが、全ての周波数の音を耳で聴覚として聴きとれる動物というのは基本的にはいません。ある一定の範囲の高さの音だけが聞こえて、その範囲外では聴覚としては感知できない事が普通なのです。聴覚として聞こえる音の高さの事は「可聴領域」などと呼ばれたりします。

ヒトと犬や猫とでは、その可聴領域が異なります。

簡単に言うと、「高すぎる音」や「低すぎる音」というのは動物が聴覚として感知できなくなるものであって、そしてどの程度の高さの領域の音がそれに該当するかはヒトも含めて動物の種類ごとに異なるという事です。

ですので、臭いと同様に音に関しても「ヒトには聞こえないけれども犬や猫には聞こえるもの」が存在するという事自体は実は「科学的に正しい」のです。(それをお化けが発しているのかどうかは別問題として!)

また、一般的にヒトよりも犬猫のほうが広い可聴領域を有しているのですが、実は犬に関しては「低い音」に関してはほんの僅かながらですがヒトよりも可聴領域が狭いという報告がなされています。

つまり、低い領域の音に関しては「犬には聞こえない(聞こえにくい)がヒトに聴覚として感知できる」ものも存在するという事です。その事自体は実用面では割とどうでもよい事かもしれませんが、感覚の「優劣」は単純に決まるとは限らず動物の種類によって得意な部分と不得意な部分がある事を示す例であると言えます。

低い側の可聴領域における人と犬や猫の差は、ほんの僅かな違いです。個人差・個体差があるのも当然です。それでもヒトと犬猫で「違い」がある事が分かっています。

犬や猫は40Hzくらいの低い音が聞き取れる限界です。しかし人の場合は20Hzくらいまで聞こえると言われています。

この20Hzという高さの音は相当低い音で、男性の低めの声よりもずっと低い音です。日常でそんなに多く聞く音ではないと思います。従って、犬や猫が男性の低い声を聴きとれないという事ではないと言えます。

その他にも、短く区切った音の識別なども実は人のほうが犬や猫よりも優れていると言われます。これは、言葉の聞き取りに関係すると言われているのです。人と動物とで、どちらが能力的に優れているか一概に断じる事ができない興味深い例であると言えます。

■ナレーション:小日向 南様

実は「低い」音の聴き取りに関しては僅かながらヒトのほうが犬よりも可聴領域が広く「勝って」います。(もちろん個体差・個人差もあります。)

視覚についても「人には見えないが動物には見えるもの」が科学的な意味で存在する

そして、ここまでは嗅覚や聴覚について触れてきましたが、実は視覚に関しても「ヒトには見えないが特定の動物には見えるもの」が存在する事が科学的に実証されています。これは犬猫よりもむしろ虫などの無脊椎動物に関して特筆すべきものがあるものですが「色」に対する視覚としての感知能力が動物によって異なる場合がある事が報告されているのです。(もちろん、近視や遠視などの観点からの「目の良さ」の違いも存在します。)

そこまで行くと、「動物にだけ感知できるもの」や「ヒトにだけ感知できるもの」が存在する事自体はむしろ科学的分析によって実証されているとも言えます。もちろんそれはスピリチャルな話と科学的分析を直接結び付けるものではありませんが、やや皮肉な分析結果であったとでも言えましょうか?