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山椒魚とサラマンダーとサンショオール

動画ナレーション:小日向南さん

山椒魚(さんしょううお)は両生類の仲間、つまり蛙(かえる)の仲間です。英語ではサラマンダー、ラテン語でサラマンドラなどと呼ばます。

アジア~ヨーロッパの大陸に住むファイアサラマンダーの学名は Salamandra Salamandra です。

山椒魚の一種であるファイアサラマンダーはファンタジーの火トカゲのサラマンダーのように火を噴くわけではありませんが、何らかの理由で海外では山椒魚からファンタジー的なサラマンダーの伝説が出来上がったようです。

火の精霊や火トカゲとしてのサラマンダー伝説は、火の燃料にする木材の陰に山椒魚が潜んでいて木と一緒に火に入れてしまう事が多く、慌てて逃げ出した山椒魚が「火から出て来た」ように見えたという説があります。但しそれはあくまで説の一つです。また、伝説の方が先に存在した可能性も否定はできないとも言えます。

日本語での「山椒魚」の名称は、植物の山椒(さんしょう)にちなんでいます。山椒魚の粘液には独特の臭いがあり、それが山椒特有の臭いのようなので山椒魚と名付けられたという説が従来からありました。

しかし、実際に臭いをかいでみると、山椒魚の粘液の刺激臭と山椒の香りは随分と違うと感じる人が多いとも言われます。

また主観的でなく科学的にも、山椒魚と植物の山椒との関係は残念ながら否定的な見解が出ています。山椒の香りの成分は化学的にはサンショオールと名付けられています。しかしその物質は山椒魚の粘液を調べてみたところ、検出されなかったようです。

粘液にはサンショオールが含まれていなくても、山椒魚の体内からサンショオールかそれに極めて似た構造の物質が今後発見される可能性は無いわけではありません。しかし「山椒魚」という名称は誤解から付けられたという説が現在では濃厚になっています。

サンショオールは生体内の多くの化学物質と同様に単純な構造の物質ではありませんが、直鎖状の部分が多くベンゼン環などの環状の構造は含んでいません。

写真提供:pixabay.com 7848氏,Lutz Peter 氏